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| 血ミカンのジュースに日本の不幸を思う |
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トゥールーズ (フランス) |
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サンギヌーロ Sanguinello 、辞書を引くと「血ミカン」と書いてあるが、別の呼び名があるのかも知れない。このジュースは最高にうまい。 新鮮な香り、芳醇な色彩、強烈な酸味。果肉を含んだ濃厚な味わいが舌だけでなく、胃腸を刺激する。 フランスでは、たいていのフルーツジュースがうまい。でも、値段は1リットルで250〜350円くらいで、日本よりもちょっと高い。果物がとても安いのに、なぜジュースになると高いのだろう。一般に、加工品は値段が高くなる傾向があるのだが、気になる。 もしかしたら、ストレート果汁だからかもしれない。 日本のフルーツ・ジュースはたいていが濃縮果汁還元だ。産地で果物を搾り、いったん水分を減らしてから輸送し、日本で水で戻してからパッケージ詰めする。 そう考えると、値段も日本より高いわけではない。日本の濃縮果汁還元ジュースは200円以下だが、ストレート果汁になると300円前後するだろう。味の差は歴然だ。一度ストレート果汁を飲むと、濃縮果汁還元のものは飲めなくなる。まったく味が違う。 日本のジュースは濃縮果汁還元が普通なのだ。もちろん、それによってコストダウンが図れるのだから、必ずしも悪いというつもりはない。安い値段でジュースが飲めるのだから、選択肢として用意されているのはありがたいことではある。 問題はジュースだけではない。 日本の食文化のもっとも不幸な点は、まがいものが堂々とまかり通っていることだ。 わらび餅がワラビのデンプンから作られていないとか、片栗粉がカタクリから作られていないとか、そういうことは、もう、仕方が無い。 例えば日本酒。水で薄めた酒に合成アルコールを足したものが堂々と売られている。むしろ、コンビニで売られているものは、そういったまがいものの方が多い。水で薄めたものを端麗辛口などといって、むしろ宣伝文句に使っているものもある。 一度日本酒の原料表示を見てほしい。「米」と「米麹」しか使っていないものが本物だ。「醸造アルコール」という記載があるものはアルコールを足している。「アミノ酸類」とあるものは味まで調整している。 もう戦時下ではないのに、そのようなまがい物の代用品が認められているとは不思議でならない。 この発想は日本酒だけにあてはまるものではない。 キリンビールの前社長は、「どうせ消費者にビールと発泡酒の違いなんてわからない」というような発言をして批判を受けた。供給者側の代表者がこのていたらくだ。 牛丼はどうだろう。かつて吉野家がコストダウンのためだけに、牛丼の汁を粉末にした。工場で作った粉末を各店舗で湯で戻して提供する。この時ばかりは消費者の舌が正しかった。客足が遠のいた吉野家は倒産の危機に見舞われたのだった。 食肉の偽装事件が後を絶たないのも、背景には同じ思想があるのかもしれない。消費者の判断能力をみくびって、供給側がごまかしをする。 そして、返金するといいだすと、買ってもいない人たちが大挙して押し寄せ恫喝する。札幌の西友の子供じみた対応と、それに見事に応えた浅ましい人々。近年になくほほえましい出来事だったと聞いている。
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