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| それはあたかも踏みえのようだ |
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トゥールーズ (フランス) |
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先日の中国人の行動をぼくの胸にそっと秘めつつ、彼がなぜそういう行動に出たのかを考えていた。それも会って1時間しか経っていない初対面の日本人に対して、なぜ台湾が中国の一部であることを誇示しなければならなかったのだろうか。 もしかすると、コミュニケーションの方法に関する違いが、彼の行動の原点にあったのかもしれない。 欧米人は個人対個人というのがコミュニケーションの基本だが、アジアでは違うものをその根本においているのではないかと感じることが多い。 アジアとひとくくりにしていいかどうかはわかならないので、とりあえず、「彼は」といっておこう。 彼は他者と関係を取り結ぶにおいて、所属している集団や信条によって自分自身がだれであるかを証明しようとしたのではないだろうか。 だから中国人の彼は、中共に忠実な善良なる市民として、まず自らの信条である「台湾は中国の一部だ」という思想を表明したのだろう。彼にとっては名刺のようなもの、最初の名乗りのようなものに過ぎなかったのだ。 しかし、名乗りを上げられたぼくにとって、それは一種の踏み絵のように思われた。「台湾は中国の一部だよ、きみもそう思うよね、だからぼくたちはアジアの同胞だ、仲良くしよう」と。 排他的なムラの感性をいつも思い出す。同じ愚かさを共有するものしか仲間にせず、異なる価値観を持つものは常に排除される。彼の国もずいぶんと不自由なんだなと思った。 ぼくはもちろん、その絵を踏むつもりはない。
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