Gamecat.com > ヨーロッパ一周 > ディオン
   ディオン

走行距離 10660km
訪問都市      38

Dion
(ギリシャ)

 

<<<前 / 次>>>

* オリュンポスの麓、水没したイシスの聖域


なんという神々しい姿!これがオリュンポス山だ


レストランやカフェの建ち並ぶエリア。なかなかいい雰囲気だ


かなり広い範囲を歩かなければならない


古代都市の中央通り


住居だった場所


♪柱が一本あったとさ〜


大部分は何もない平原。草ぼうぼう


発掘や再現をし過ぎないのがギリシャの味だ。過去は過去に属するのだ


共同浴場の基部。ローマ風呂と同じ仕組み。これもローマ時代のものだろう


その横にあるのはトイレかな?


風呂の底のモザイクは花開いている


水没したイシスの聖域。これはすごい!ガツンといわされた気持ちだ


たたずむ女神、倒れた柱


何もかもが菖蒲の陰に埋もれているのだ


本当に埋もれているのだ


広大な遺跡の中でも、このイシスの聖域がハイライトだ。これはもう、音楽だ!


古代ギリシャ劇場は、今もイベントに使われているとか


古代マケドニア人の襲来だ!ガコガコガコ


付属のミュージアムは、3フロアに渡って、出土品が展示されている


遺跡に置かれているのはコピーで、こちらが本物


足型なのはわかるが、どうして…


ローマからユナイテッド・ステイツまで、古今東西の帝国は鷲をシンボルにするが、その起源はマケドニアにあったのだ!さらに、バビロニアにまでさかのぼることができるとの説も


これもバビロニア経由の意匠ではあるまいか。陸続きとはこういうことなのだ


ヨーロッパ最古の、オルガン状の楽器が発掘された。銅でできている


この人は何をしているのだろう??左の物体には羽が生えているぞ


鳥の丸焼きを半分。パンとコーラも付いて5ユーロは安い!

マケドニア・トレイルと、ぼくが勝手に名付けた今日の行程は、ペッラから南下し、オリュンポス山の麓、ディオンを目指した。

途中でふと我れに返ったのだが、これは遠い… エデッサから180キロもあるじゃないか。気軽に日帰りする距離じゃないような気がしてきた… もう取り返しがつかないので、ひたすら南に進む。

そろそろオリュンポス山が見えてきてもいいはずだと思うが、なかなか見えない。と思ったら、近くに巨大な影があることに気付いた。すぐ目の前に、壮大な影が、霧に煙りながらそびえているのだ。これがオリュンポスだ。その大きさ、その姿、ぼくは畏怖すら覚えた。神々しいとはこのような場合に使う言葉なのだろう。これは本当に神々の住まう場所だ。

やがてディオンに到着し、車を降りて驚いた。空気が清涼で、甘いのだ。普通に呼吸していても、甘くてかぐわしい空気に肺が満たされる。吹き降ろすそよ風がこずえを揺らす。この山は本当に特別な場所なのではないだろか。

古代ディオンの周辺には、レストランの並ぶ通りもあり、なかなかいい雰囲気。愛想のいいおばさんの店で、ピタ・ギロスを食べた。2ユーロ。子供がテレビを見ながら宿題をやっていた。

ディオンは、オリュンポスの神々を崇拝したマケドニア人にとって、神聖な都市だった。アレキサンダー大王は、東征に出る前に、ここで大規模な生贄を捧げたと、紀元前1世紀の歴史家ディオドロス・シクロスも書いている。

この都市の起源は不明だが、最初は豊穣の地母神を崇拝していたようだ。それが、しだいと他の神々を奉ずるようになった。

ここも遺跡とミュージアムがセットになっている。

遺跡は広い。ものすごく広い。何もない草原が大部分を占めているのだが。かつての住居跡、共同浴場跡、キリスト教の教会跡など、さまざまなパートに分かれている。

ディオンの都市は5世紀まで栄えたのだが、地震や洪水といった天災のために、住民たちは街を放棄し、オリュンポスのさらに近くに移り住んだそうだ。これほど栄えた街が滅び、土に埋もれ、忘れ去られるというのが、不思議でならない。

ぶらぶら歩いていると、イシスの聖域と呼ばれる場所に出くわした。これはすごい!こんな光景は初めてみた。

イシスはエジプトの女神だが、ここでも崇拝の対象となっていた。彼女に捧げられた神殿の遺構が、その基部が水に沈み、深々と草の奥に隠されながら、残っているのだ。

なぜこんなに心を動かされたのだろう。

常々ぼくは、文明は滅ぶのだ、ということを考えてきた。どうして文明は滅ぶのだろう、ということも考えてきた。ぼくたちの文明もいつか滅ぶのだろうか、ということも考えてきた。

だから瓦礫と化した遺跡が好きで、その中で思索することが好きなのだ。

柱は倒れ、壁は崩れ、女神の腕は折れ、草が生え、水に沈む。この遺構は、ぼくの考えてきたことを、詩的な形を取って現れた、ある種のエピファニーではないかと感じたのだ。

そして、たとえ文明が滅んでも、その遺伝子は残るのだ、ということにも心を動かされた。

イシスはエジプトの女神だ。古代ギリシャはエジプトの影響を多分に受けて、文明を開花させた。エジプトとギリシャは地中海を隔てて非常に近い距離にある。クレタの宮廷にもエジプト人は大勢やって来ていた。

そして、ギリシャはローマに受け継がれ、ローマから全ヨーロッパへと。さらにルネッサンスを経て、現代まで脈々とその系譜は続いているのだ。

文明と文明が影響を及ぼしあうということ、そのことを陸続きで確かめようとしたのが、この旅の目的だったが、ここでもその実際を見ることができたわけだ。

清涼な空気の中、遺跡を歩いているだけで気持ちいい。アクセスは悪いようなので、オリュンポス山に登りに来た人くらいしか立ち寄れないだろう。実際、ここで出会った人は、日本人がこんな場所にいるとはびっくりだと、驚いていた。

この後、リトホロという、オリュンポスに登る際の拠点となる街にも立ち寄ったが、特に何か見たわけでもないので、ここでは書かない。オリュンポス山にはいくつも山頂があり、様々なルートで登ることができるそうだ。ガイドブックによると、山小屋に泊まって2日かける必要があるとか。いつの日か、この神聖な山に分け入るために再訪しようと思う。

そんなことを考えながら。、180キロの道のりを2時間以上かけてエデッサまで帰った。

(2004年9月23日)

 

<<<前 / 次>>>

  Gamecat.com / ヨーロッパ一周 / メルマガ / カンパ / 掲示板 


Gamecat.com に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。
すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
Copyright 2004 yas iMai. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.